先の「カーボンの違い」では「CFRP」と「グラファイト」の紹介を致しました。弊社のメインの取扱い材料は、黒鉛グラファイトです。「黒鉛とは」では原料や黒鉛を説明する際に必要となる用語を紹介致します。

人造黒鉛と天然黒鉛


人造黒鉛とは

人造黒鉛とは、人工的に作り出されたカーボン材料の事です。 人造黒鉛の材料はコークスや石油が主な原料になっております。石炭を乾燥させた際に出る液「ピッチコークス」や コークスや石油の副生成物「コールタールピッチ」が原料になっています。石油系の黒鉛とコークス系の黒鉛では特性が変わります。また、カーボンブラックや、炭素繊維も人工的に作られており、人造黒鉛に分類されます。


天然黒鉛とは

天然黒鉛は、自然に作り出された黒鉛原料です。天然黒鉛は、人造黒鉛の原料と比較すると柔らかい材料です。また、グラフェンの結晶構造は人造黒鉛に比べて進んでおり、滑らかなので潤滑性も優れています。しかし、不純物の量が人造黒鉛に比べて多い材料です。天然黒鉛がそのまま使われるには、不純物が含まれていても問題がない用途になります。天然黒鉛は、いくつかの種類に分類されます。

土壌黒鉛

黒色で土状または土塊状の黒鉛。非結晶体。 原料の分留の手間が少なく安価な材料です。不純物が多少含まれていても問題がない用途の添加剤では、そのままの黒鉛粉末が使われています。

半鱗状黒鉛

黒色で土状または土塊状の黒鉛。非結晶体。

鱗状黒鉛

鱗状黒鉛は薄片の厚みが比較的大きな塊状の黒鉛。

鱗片状黒鉛

グラフェンの結晶構造が発達している天然の原料。

膨張黒鉛・膨張化黒鉛

鱗片状黒鉛のグラフェンの構造にイオンや分子を挿入する事で、層間化合物が出来ます。更にこの層間化合物を熱する事で、膨張黒鉛・膨張化黒鉛が作られます。

天然黒鉛の参考画像

黒鉛グラファイトの原料


コークス

コークスとは、石炭を乾留(蒸し焼き)して炭素部分だけを残した多孔質の燃料です。主に製鉄所の燃料として消費されています。 コークスを製造する際に出来る副生成物の一つは、コールタールといわれています。コールタールより、ニードルコークスやピッチコークスが作られます。

石炭の参考画像

ニードルコークス

ニードルコークスは、コークスを製造する過程で発生するコールタールが原料となっています。石炭からニードルコークスを生産しているのは世界で2社しかなく、一つが三菱ケミカルさんです。三菱ケミカルさんのニードルコークスを使用した電極は、従来の石油系のものに比べ、熱膨張係数、電気比抵抗が小さく、電極自体の消耗も極めて少ないといわれており、優れた特徴をもっています。ニードルコークスは黒鉛電極の材料として使われる事が多いです。一部は、特殊炭素製品への応用もされており、酸化磨耗が少なく熱処理用の冶具として使用されている事もあります。


ピッチコークス

ピッチコークスも、コークスを製造する過程で発生するコールタールが原料となっています。ピッチコークスは弊社が加工を行っております、特殊炭素製品の材料の原料として主に使用されています。 国内で製造されている黒鉛グラファイトの材料は、約半数が半導体や太陽電池パネルの製造設備の部品として消費されているといわれています。アルミを精錬する際の、陽極の電極材料としても使用されています。

ピッチコークスの参考画像

コールタールピッチ

コールタールピッチは、原油から石油やガソリンを精製する際に発生する副生成物です。石炭系のコールタールと区別するために、石油系のコールタールはアスファルトの別名も持ちます。アスファルトを更に分留して、芳香族化合物やクレオソート油、コールタールピッチなどが作られます。コールタールピッチは、人造黒鉛の原料としてそのまま使われます。 他にも、染料やカーボンブラックの原料として利用されます。

コールタールピッチの
参考画像

メソフェーズカーボン

メソフェーズカーボンは「分子群は規則的な配向をしているが、流動性を有しかつ溶融解、再析出等の可逆的相変化が可能な液晶状態」の物と、 九州大学の持田勲先生と光来要三先生のお二人が定義されていらっしゃいます。コークスから出たピッチなどを加熱すると、400度付近から炭素以外の不純物は気化し、炭素の一部が熱分解をおこし始めます。 熱分解を起こした炭素は隣り合う炭素成分と引っ付いて球体となり始めます。 このように液相から固相へ変化する間に生成する液相がメソフェーズと呼ばれています。メソフェーズカーンは黒鉛グラファイトの緻密度に関わる原料です。

メソフェーズの参考画像

「黒鉛とは」ではグラファイトの材料を知る上で必要となる用語を紹介させていただきました。黒鉛の製造方法をより理解しやすくなる為に、もう一つ紹介したい事があります。次の「炭素質・黒鉛質の違い」では、焼成温度の違いで発生する特性の違いを紹介致します。